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ついに神★小説の感想に着手してしまいました。
ヲタ返り咲き後はタクミくんシリーズとよしながふみさんの作品(同人誌含む)のみのお楽しみでした。基本的に本は「試しに買う」なんて事なく、図書館で借りて読んで、何度も繰り返して読みたい!というものだけを購入する、というスタンスなのでなかなかBLについては冒険できなかったという事情もあります。
とはいえ、木原音瀬さんの名前だけは存じ上げておりました。いつだったか、ダヴィンチのBL芥川賞に選ばれていて、BLで人気のある作家さんなのね〜くらいの認識でしたが。
そんな私が本屋さんで偶然「美しいこと」の表紙の美しさに目を奪われ手にとったところ、気になってた木原音瀬さんの作品ということが分かり、私にしては本当に珍しく冒険的に購入してしまいました。
今思うと自分!グッジョブ!!
その日のうちに読み始めたのですが・・・スゴイ!の一言でした。
1ページも読まないうちにグイグイと作品世界に引き込まれる吸引力。
読者が急激に感情移入してしまう登場人物の存在感。
丁寧に、緻密に、嘘偽りなく描かれる心理描写。
心理描写を追いながらまるで自分の事のように感じる恋する事の楽しさと辛さ。
す、すごい本に出会ってしまった・・・。
睡眠>趣味 というパワーバランスだったワタクシですが、
「美しいこと」に関しては、睡眠<「美しいこと」
久しぶりに睡眠時間を削って読む!という行為をやらかしてしまいました。
そんなこんなで木原音瀬さんのトリコになって、その他の作品も少しずつ読んでいってます。
他にも素晴らしい作品がたくさんあって、読む度に感動してしまうのですが、やはり最初の衝撃も手伝って「美しいこと」が私の中ではナンバー1!です。
さて、そんな私にとっては神★小説な「美しいこと」
ネタバレ含む感想
女装をカミングアウト→キミが男でも関係ないゼ★な流れにならないのがシビアというか普通に考えれば当たり前な話なのですが。仮に自分が33歳で結婚したいと思えるくらい好きな人ができて、その人も自分を好きになってくれたところで、実は「俺は女なんだ!受け入れて!」って言われても無理。次の恋に進める体力も持ってかれるくらいの打撃だと思うので逆に慰謝料を請求したくなるかもしれません。
だけど!そうだけど!!
上巻約150ページかけて松岡の心情を追ってきただけに、そこんとこ冷静に判断できなくなってしまうんです。読者である私は・・・。松岡だって最初は自分に好意を寄せてくる寛末に興味本位で近づいてしまったという負い目だってあるし、福田をギャフンと言わせる作戦だって、「その後寛末がどんな気持ちになるか」という事よりも「福田許さん!」っていう自分の怒りの方が先走ってた気がします。でもその辺の負い目は棚に上げて、常識かなぐり捨てて「自分がどんなでも好きでいてくれるっていったじゃない!!」と暴れて寛末につかみかかりたくなるこの心情・・・。あまり考えたくないですが、認めなくないですが、自分にもあります。そういえば「檻の外」の堂野の奥さんの逆上シーンでも同じような気持ちになったな・・・。
でも!でもね!!
もう恋してしまった人間の心情はそんな理屈は飛び越えてしまうわけですよ。自分も悪かったので責任とって諦めます、とはいかないですよ、きっと。そしてそんな理屈を超えるような恋に堕ちてしまったのが、ある程度の年齢を重ねた、要領も良く、仕事もできる男である松岡、というところに恋の凄まじさを感じます。
松岡はとても男らしい人だと思います。前述で「自分の事を棚に上げて・・・」的な事を書きましたが、ちゃんと自分の負い目は認めているし、基本的には冷静に判断して行動できる男らしい人です。随所に「オットコマエだわ〜」と思えるような箇所があります。そんな男前な松岡が恋に堕ちて、諦めたくても諦められなかったり、自分がどんなに傷ついても寛末の負担にならないように気を使ったり、ちょっとした事で嬉しくなったり、自分の勘違いに気づいて深く落ち込んだりという流れが切ないです。随所で涙する松岡にこちらも胸を締め付けられるような気持ちになります。
そして、ラスト。プライドやら建前やらをかなぐり捨てたところで二人はようやく手をとりあって共に恋に堕ちます。終盤、疲れ果ててお得意の笑顔が消えた松岡と松岡に必死で縋り付く寛末の本音と本音のぶつかりあい→お互いを愛おしく思う恋、に繋がる流れは素晴らしいです。
口下手で、調子のいい事が言えなくて、松岡が気になりつつも「気になる」以上の言葉を長い間出せなかったある意味慎重だった寛末だからこそラストの松岡への「大事にするから」とか「優しくされるのが怖いなんて、二度と言わせないようにするから」という言葉がゆるぎないものに感じられます。そしてその寛末のゆるぎない決意がより一層恋で傷ついた松岡の揺れる不安を浮き彫りにして最後まで切ないのです。幸福なラストなのに最後の最後まで切ないんです。
今までいろんな恋愛小説を読んできましたが、私の中でNo.1を占める恋愛小説となりました。
本の素晴らしさは「自分ではない人生を体験できる」というところにあると思いますが、「美しいこと」はまさしくリアルに恋する感情を追体験できるお話です。読んだ後1週間は頭がボエーっとなります(笑)ご注意あれ!
ああ、早く二人のラブラブっぷりが読める小冊子が待ち遠しくて仕方ありません。
3月1日 ちょぴし感想を追記




